東京高等裁判所 昭和35年(ラ)941号 決定
民事訴訟法第七三三条第一項、民法第四一四条第二項によつて建物の収去を命ずる決定は、執行裁判所たる第一審受訴裁判所が、確定判決その他の債務名義の執行力ある正本に基く強制執行の方法としてなすものであるから、当該裁判所は右の決定をなすにあたつて、債務名義の内容たる実体上の請求権の存否及び執行文付与の適否を審査することができず、したがつて右決定に対する抗告においても、これらに関する事項を不服の理由として主張することは許されないものといわねばならない。本件において抗告人の抗告理由とするところは、結局、本件強制執行の基本たる債務名義(和解調書)の内容をなす建物収去土地明渡請求権の不成立もしくは消滅またはこれに対する条件成就により執行文付与の当否を主張するに帰するのであるから、その理由のないことは前記の説示に照らして明らかである。
(原 山下 多田)